Staff interview

会って話を聞いてみたら「手伝ってくれないか」と

Craftman interview 19

T.NAKADA

創業メンバーとしてこれまで工房を支えてきた、仲田。10年前、「あくまでお手伝い」と決意した彼が、鎌倉彫金工房の職人になったきっかけや、どのような想いでお客様と、指輪と向き合っているか話を聞きました。

金工作家として活動していたのもあって

金工作家として活動したいという思いがあって、ジュエリーの専門学校に通っていた学生時代からずっと留学したいなと考えていました。ただお金がなくて(笑)学校の卒業後は、時計の修理工場などで働きながら資金を蓄える日々でした。

ついにジュエリーを学ぶためにイタリア留学して、現地でも自分の作品作りを続けていました。帰国を控えたある日、当時イタリアで通っていた学校の校長先生からドイツで開催されるジュエリーの国際展示会へ「出展しないか」と声をかけてもらったんです。

展示会自体はお金を払えば誰でもエントリーできるようなものだったんですが、運良く私の作品が受賞し、翌年の出展権を手に入れることができました。それを機に作品作りにさらに専念するように。まるでそのためだけに生きていたような感じで、貯金を切り崩しながら作家活動に熱中していましたね。ただ、当時は活動も思ったようにできませんでしたけど……。

作品作りは今でも続けていて、長く作っているのは『Community』というシリーズ作品。集合することで生じる力とか、結束力によって強まる現象、関係性で生まれた小さな社会とかをCommunityというテーマで捉えて、鉄と銀を組み合わせたり重ねたりして表現している作品群です。既に三作目に入っているのですが、現在はマンションのような集合住宅からインスピレーションを受けて作品を作っています。

会って話を聞いてみたら「手伝ってくれないか」と

鎌倉彫金工房で仕事を始めることになったのは、本当に偶然でした。たまには飲みたいなと思い立って、今は工房の代表をしている友人の嶋﨑さんに連絡したんです。そうしたら「俺もちょっと話があるんだ」と返ってきて。彼は工房の前身である「鎌倉彫金教室」をオープンさせたばかりでしたが、会って話を聞いてみたら「手伝ってくれないか」って。結構悩んだんですが、面白そうだし、やりたかったジュエリーの仕事でもあったので、結局行くことに決めたんです。

ただ、私は最初から「お手伝いさん」でいると決めていました。友人同士で慣れ合いになるのは避けたかったんですよね。嶋﨑さんとはプライベートでは友人ですが、仕事中はしっかりと距離を保ち、プロフェッショナルな関係を築いていたいと思っています。10年くらい経った今でも、気持ちはあくまでお手伝い。その思いは変わっていないですし、スタッフが増えるにつれてその意識は強くなっているように感じます。

現在は現場を離れて、育成という立場でスタッフの接客や加工技術の向上を担っています。

あのときは、ただただ嬉しくて涙が出てきました

以前は直接お客様と接することができ、お客様から直接感謝の言葉をいただくことが私にとって大きな喜びでしたが、今はそういった場面を見ることが、私にとって最も嬉しい瞬間です。

スタッフの成長は自分のお陰だなんてことはないのですが、その一端は担ってるかなという自負はあるので、お客様が満足されてお礼のお手紙やメッセージをくださったり、スタッフとお客様が一緒に写真を撮っている姿を見たりすると、ああ、よかったって。心から嬉しいなと感じます。

あとは、私が教育係として初めて受け持ったスタッフが、業務内容をしっかりとこなしているのを目の当たりにした時。あのときは、ただただ嬉しくて涙が出てきました。いつ思い返しても結構ぐっときますね。良かった、伝わってる、ちゃんと育ってくれた、って。

お客様は私たちと同じ一人の人間である

職人として直接お客様と接していた頃から、育成の立場になった今でも常に意識しているのは、お客様は私たちと同じ一人の人間であるということ。新しく入社したスタッフにも、このことは必ず伝えています。

例えば、私たちが失礼なことをすれば、お客様は当然嫌な思いをされるでしょう。しかし、私たちが一生懸命にお客様のお手伝いをすることができれば、お客様はそれを感じてくださり、喜んでいただけるのではないかって思っているんです。

お客様を神様のように崇めるのではなく、等しく人間として尊重することが、お客様との信頼関係を築く上では不可欠。この姿勢があるからこそ、指輪をお客様と一緒にご制作できる機会に感謝ができるし、一期一会を大切に、真摯にその場に向き合えるのではないかと感じています。

仲田のおすすめリングは……
イエローゴールド

イエローゴールド、当工房ではK18の取り扱いしかないですけど(笑)個人的には純金(K24)が特に大好きなんです。少し派手だと感じるかもしれないんですけど、黄金色って他にない唯一無二の色なんですよね。山吹色のようなビビッドで光沢がある発色は他にはない美しさがあると思っています。個人的にものすごく好みなのは、新品のピカピカに磨かれた状態より、少し使い込んでくすみ始めた時。この経年変化がゴールドの魅力だと感じていて、K18でも純金っぽくなって味が出てるな~と思うんです。アンティークのような雰囲気も感じられていいですよね。

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